チェリーテラスの食とレシピ

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二十四節気の食材とレシピ「啓蟄」

季節は啓蟄(けいちつ)。啓は「ひらく」、蟄は「冬ごもりをしている虫」という意味を持ち、啓蟄は冬ごもりをしていた生き物が姿を現す頃です。つまりは春の訪れを意味しています。少しずつ寒さが和らぎ、昼間は日差しが暖かく感じられる日もあるのではないでしょうか。
春に旬を迎える山菜が続々と登場しています。菜の花や豆類、アスパラ、春キャベツなど鮮やかな緑色の春野菜も多くあります。今しか食べられない旬の食材を活用して、春爛漫な食卓を囲んでみてはいかがでしょうか。

うど

清々しい香りと、シャキシャキとした食感が特徴的で、生のままでも、サッと炒めたり茹でたりしても美味しく食べられる山菜です。皮を厚めに剥いて切った後に、酢水にさらして食べます。アクが強く、切ってそのままにしておくと、次第に褐変してしまいます。このアクの正体はポリフェノールの一種である、クロロゲン酸。普段とは違うおこもり生活で、ストレスを発散する場所も制限されており、ストレスが溜まっているという方も多いのではないでしょうか。ストレスにより、体内では活性酸素が発生しています。山菜の多くは抗酸化作用を持つポリフェノールを含んでおり、今の時期におすすめの食材です。

うどは100gあたり19kcal(1食で摂取したいエネルギー量の約3%)と非常に低カロリーながら、食物繊維やカリウムを豊富に含んでいます。うどに多く含まれる不溶性食物繊維は、腸内に発生した有害物質の排出を促す作用があります。カリウムも余分なナトリウムを体の外に出しやすくする作用があるため、デトックスしたい今の時期におすすめの食材です。   

うどは皮ごと食べることもできますが、皮は苦味や香りが強いため、きんぴらや天ぷらなどにするとよいでしょう。全体にうぶ毛が白く密についていて、先の芽の方まで太くまっすぐ伸びているものを選びとよいでしょう。

わらび

山菜の代表格として、古くから親しまれているわらび。市販の山菜ミックスにもよく使われているため、山菜の中でも馴染みがあるのではないでしょうか。そのまま食べると、発がん性物質が含まれているため、必ずアク抜きをしてから食べます。食物繊維が多いため、重曹を入れたお湯で繊維を柔らかくしてアクを抜きます。やはりアクのもとはポリフェノール。活性酸素の溜まりがちな今の時期には積極的に食卓に取り入れられるといいですね。わらびはクセがなく、食べやすい山菜です。わらびには食物繊維やビタミンEが含まれているため、体の中にある滞りをデトックスするのにおすすめの食材です。アク抜きしたものを和え物にしたり、炊き込みご飯や味噌汁に入れたり、和風パスタにしてもよいでしょう。いろんな料理に使いやすいので、おうち時間で山菜料理に挑戦してみてはいかがでしょうか。少しオリーブオイルを加えていただくとビタミンA、Eの吸収率が高くなります。

わらびは鮮度がすぐに落ちる山菜でもあります。山菜採りに出かけたら、産毛が沢山付いて、茎が太く短い物、首がまだ上を向く前くらいの物が柔らかく美味しいです。市販品であれば、30cm位で茶色く変色していないもの、茎が緑色のものがおすすめです。

ひじき

ひじきをはじめ、海藻類の多くは乾物として一年中出回っており、旬の見えに くい食材ですが、実は冬~春の寒い時期に旬を迎えます。この時期のひじき は生ひじきとして魚売り場にも並んでいますので、乾物とはまた違った美味し さが楽しめます。 ひじきにはカルシウムや、食物繊維が豊富に含まれています。ただ、カルシウムの吸収率は食品によって大きな差があり、海藻類は乳製品の半分以下と 言われています。カルシウムの吸収を助けるにはビタミン Dが必要です。ビタミンDを多く含む魚やきのこ類と一緒に調理したり、皮膚には紫外線によってビタミンDを合成できるものが存在するため、お天気のいい日には日の当たる場 所で紫外線を浴びるとよいでしょう。
きのこの中でも特にひじきと相性がいいキクラゲがおすすめです。

ひじきを混ぜ込んだひじきドレッシングは、市販品のフレンチドレッシングと栄養素を比較すると、カリウムやカルシウムを多く含むことが分かります。普段かけるドレッシングで栄養をプラスできるため、おすすめです。

しらす

食べやすく、栄養豊富な食材として、小さな子どもからご高齢の方まで、広く親しまれているしらす。流通しているしらすの多くは、カタクチイワシの 稚魚で、一年中産卵はしていますが、春と秋の産卵量が最も多くなります。干した加減によって名称が異なり、生のしらすを釜茹でしたものを「釜揚げしらす」、それを少し乾燥させたものを「しらす干し」、さらにしっかりと乾燥させたものを「ちりめんじゃこ」と呼んでいます。魚売り場で見比べてみ ると、一目瞭然です。

しらすにはカルシウムやビタミンDが豊富に含まれており、どちらも骨の健康に欠かせない栄養素です。ビタミンDは魚の皮に多く含まれており、しらすは皮も身もまるごと食べることができるため、カルシウムも一緒に摂取することができます。しらすなどの具材をのせて焼き上げたしらすピザは栄養満点。不足しがちな様々な栄養素をしっかりと摂る事ができます。手軽に食べられるしらす、朝食の納豆に混ぜたり、昼食のおにぎりや、夕食の和え物に使ったりと、お手軽に美味しさも健康面も両方カバーできるといいですね。

ほたるいか

暗い海の中で蛍のようにきらきらと光るほたるいかの映像をご覧になったことがないでしょうか。3月になるとほたるいかの一大産地である富山湾での漁が解禁され、身入りがよく、味のよいほたるいかが出回ります。鮮度が落ちるのが早いため、船上で釜茹でされたものが多く流通されています。 酢味噌を付けて食べるのが一般的ですが、バターと醤油で炒めたり、菜の花やアスパラといった春野菜と一緒にパスタにしたり、トマト煮にしたりす ると美味しく食べられます。 ほたるいかには鉄や亜鉛といった不足しがちなミネラルや、ビタミンA、ビタ ミンEといった脂溶性ビタミンが多く含まれています。中でも亜鉛やビタミンAは皮膚や粘膜の健康維持を助ける栄養素です。亜鉛については免疫反応にも関与しており、感染症から身を守るためにも積極的に摂りたい栄養素です。

特別な下処理をすることなく調理でき、旨味が強い、かつ栄養豊富なほたるいかを一度、料理に使ってみてはいかがでしょうか。

ほたて貝

ほたて貝といっても大きな貝柱から殻付きのもの、ベビーほたてと呼ばれる小さいほたて貝を茹でたもの、干し貝柱などいくつも種類があります。産地によって獲れる時期は異なりますが、春になって暖かくなった頃に産卵期を迎えるほたて貝はその前に漁獲されます。ほたてを含む貝類には何と言っても亜鉛が豊富です。また、タウリンが豊富に含まれており、コレステロールの低下、インスリンの分泌促進、高血圧の予防といった効果があるといわれています。

ほたての貝柱を加えてバーミックスで滑らかにしたてたほたてしんじょ椀は、ほたての入っていない通常のしんじょ椀と比較すると、亜鉛が2.3倍、造血作用にかかわるビタミンB₁₂が約1.6倍多く含まれています。この他にも葉酸やたんぱく質なども豊富です。栄養だけでなく、貝類の持つうま味もプラスすることができます。

(文/グラフ デザイナーフーズ株式会社)