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長尾智子さんの素材を楽しむシンプルレシピ「ヌォヴォ・ラッコルト 2022」

年末年始の特別なオリーブオイル、ヌォヴォ・ラッコルトのアイデアをご紹介します。
毎年この時期に楽しみなラッコルトですが、今年は優しげな風味が加わったような印象でした。
使い方は単純でよく、そのままかけるのがダイレクトに味わう方法です。
ひとさじ味わえば、いかに特別かがわかります。
まずはパンにつけて食べて、鮮やかな色と風味を堪能しますが、次は他の食材にも合わせたくなるもの。そこで、火を通さずに色々な素材と合わせて楽しむ方法を考えました。
考えるというよりも、食べながら思いついたというところでしょうか。
青々とした風味を生かしつつ、他の素材の良さも感じるようにするには、合わせる素材や他の調味料との量のバランスが決め手だと思います。
オリーブオイルは不思議なことに、油とはいえ調味料でもあり、出汁でもスパイスでもありますから、使えば使うほど、頼りたくなるもの。そして、だんだん料理をシンプルにしてくれる調味料。
冬休みの食卓はクリスマスやお正月と、普段よりも賑やかになる機会が多いですが、素材とラッコルトをシンプルに合わせた食べ方を間に組み込むと、それが何よりものご馳走に感じると思います。

ゆり根と数の子のラッコルト風味

お正月料理に欠かせないゆり根と数の子。お正月用に用意した一部を使って、軽やかなサラダ風にすると、目先が変わって美味しいものです。ゆり根は一枚ずつをきれいに剥がして、汚れや傷があれば切り取り、軽めに茹でて冷ましてから、塩少々をまぶして混ぜておきます。
数の子は、おせち用に味付けしたものを小さめに切り分けて、ゆり根と一緒に鉢に盛って食卓へ。仕上げにラッコルトをまわしかけ、柚子を絞りかけて全体を混ぜてなじませます。塩はしっかりめにして、好みでこしょうを挽きかけても。

冬の冷奴その2 粉かつおオイルと絹ごし豆腐

前回ご紹介したのは、たらこを使った冷奴でした。熱々の料理の合間に美味しいので、今回は違う味つけで冬の冷奴その2を。鰹節は血合いのないすっきりした薄削りを選び、スーパーグラインダーで10gほど粉状にしておきます。保存瓶やココットに入れ、塩をひとつまみ加え、ラッコルトを大さじ4~5ほど注ぎ入れます。良く混ぜてしばらく置くと、鰹節の風味とラッコルトのフレッシュな風味が馴染んで、和風ともイタリア風ともつかない美味しいオイルになるのです。
滑らかな絹ごし豆腐にかけたり、もちろん湯豆腐にも。炊きたてのご飯に、お醤油を数滴落として、温泉卵にも美味しいですよ。

クリームチーズとわさび漬けのラッコルト風味

クリームチーズとわさび漬けのラッコルト風味

日頃、あまり出会うことのない3つを合わせてみました。クリームチーズとわさび漬けはほぼ同量にして混ぜ合わせます。コツは、完全に混ぜ切らないこと。クリームチーズだけ、わさび漬けだけの部分があったほうが、それがメリハリになって美味しいもの。ざっと混ぜたら深さのある鉢に盛りつけ、傍にラッコルトを流し入れます。
スプーンでラッコルトを一緒にすくいながら、薄切りにした大根、かぶ、トーストした薄切りのパンやクネッケなどに乗せてどうぞ。お持てなし用に、ハム(ロースハムや生ハム、サラミ)に乗せて細巻きにするのもお勧めです。

トルティーヤロール

トルティーヤロール

市販のフラワートルティーヤを使って手軽に作ります。トルティーヤにベーコンをのせ、温まって縁が持ち上がってくるくらいに2、3分トースト。香菜を数本乗せてラッコルトを細く垂らします。黒こしょうを軽く挽きかけて、端から巻いて出来上がり。ベーコンではなくコーンビーフや細いソーセージなどでも。オイルサーディンやスモークサーモン(その場合は巻く前に乗せます)など、巻くものでボリュームが変わります。
焼くとベーコンの風味が立ちますが、ラッコルトの青さのある風味で良いバランス。イベリコ豚などの、ちょっとこだわったベーコンで作ると、作りはラフですが楽しいご馳走に。

チーズブレッドのラッコルト風味トースト

チーズブレッドのラッコルト風味トースト

最近は美味しいパン屋さんが増えて、チャバッタやフォッカチャの生地にチーズが練りこんであるようなパンも、よく見かけると思います。今回使ったパンも、シンプルな生地の中でチーズが溶けたタイプ。それを半分に切り分けて、縁に焼き色がつくくらいにトーストします。仕上げは、ラッコルトと本の数滴のレモン果汁。
何も入っていないパンにチーズをのせて焼くのもいいのですが、チーズトーストにするとチーズが主張しすぎるので、レモンとラッコルトでバランス良く美味しさをアップさせます。
お気に入りのパン屋さんのいつものパンを、より美味しく感じさせるアイデアです。

菊花とチーズのサラダ

菊花とチーズのサラダ

黄色や紫の食用の菊花が出回る季節です。花びらを摘んだら、お酢を入れたお湯でさっと湯通し程度に火を通し、急冷して水気を絞ります。
ボウルに入れて塩を振って混ぜ、器に盛ってお好きなチーズを添えて、仕上げにラッコルトをまわしかけて出来上がり。ここでは、塩気は菊花とチーズ、風味付けの調味料としてラッコルトを使う感じです。
ビタミンやミネラル、抗酸化力を持つ栄養素を豊富に持っているという菊花。お正月明けにいかがでしょう。味付けは、塩以外はラッコルトの風味で。

蒸し京人参のラッコルトマリネ

蒸し京人参のラッコルトマリネ

お煮染めやなますに使う、色の濃い京人参をシンプルに蒸して食べます。京人参は食べやすく切り分け、20分ほど柔らかくなるまで蒸しておきます。蒸し立てに塩をまぶし、タイムやエルブ ド プロヴァンスなどのドライハーブを少々、赤唐辛子粉をひとつまみ振り、ラッコルトをたっぷりまわしかけてしばらくおきます。
人参の粗熱が取れて、少し温かいくらいが馴染んで美味しいタイミング。もちろん、すっかり冷ましてもまた別の美味しさです。

ヨーグルト、蜂蜜、ラッコルトのトースト

ヨーグルト、蜂蜜、ラッコルトのトースト

山形の食パンをトーストして、プレーンヨーグルトをスプーンで乗せます。柔らかいスプレッドを塗るような感じに使うのも、気楽で軽やかなのでお勧め。その上に、半分は蜂蜜を、残り半分は自然塩を軽く振り、全体にラッコルトをたっぷり垂らして出来上がりです。
ヨーグルトの酸味でさっぱりとした上に濃厚な蜂蜜、ラッコルトの風味が加わると、絶妙なバランスが生まれます。
半分は粗塩を。なるべく軽いタイプのフレーク状だとなお良いと思います。ヨーグルトに塩、ラッコルトで、こちらも新しい朝ごはんのトーストという感じ。
さっぱりと食べられて軽やか、ヨーグルトとの相性も良くて美味しいですよ。

長尾智子さん、昨年のラッコルトコラムはこちらから
⬇︎
https://www.e-gohan.com/columns/nagao-vol5/