チェリーテラスの食とレシピ

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二十四節気の食材とレシピ「立春」

春の訪れを待ち遠しく感じる程、寒さが身に沁みる日々が続いておりますが、暦の上では立春。寒が明け、春らしさを少しずつ感じられるようになる季節です。
立春の七十二候の次候では山里でウグイスが鳴き始める頃とも言われています。お天気のよい日には近所で小さな春を探しながら体を動かしてみてはいかがでしょうか。
スーパーには春の食材が並び始める時期です。アスパラ、菜の花、山菜、豆類、たけのこ、いちご等、春の食材は色鮮やか。食卓に取り入れると一気に華やかになります。食べ物を通して身近なところで春を感じられそうですね。

ふきのとう・菜の花

まだ雪の残っている時期に、地面から顔を出すふきのとうは春を告げる山菜の一つです。ふきのとうは、ふきのつぼみの部分。苦味が特徴的で、新鮮なものをそのまま天ぷらにしたり、茹でこぼしてアクを抜いたものを炒め、砂糖や味噌等と一緒に煮詰めてふき味噌にしたりすると美味しく食べられます。苦味成分はアルカロイドやケンフェロール等数種類のポリフェノールによるもので、新陳代謝やエネルギー代謝を良くすることが期待されています。寒い時期は体を動かすことが減り、汗をかきにくくなり、体内に老廃物が貯まりやすい季節です。代謝を良くして、体をデトックスできるといいですね。購入する際は、黒くなっておらず綺麗な緑色をしているのを選ぶのがよいでしょう。

山菜と共に春先に旬を迎える菜の花。鮮やかな緑色で、料理に彩りを添えることのできる野菜です。栄養価も高く、カルシウムや鉄、βカロテン、葉酸、ビタミンCといった栄養素を豊富に含んでいます。そのうち葉酸やビタミンCは野菜の中でもトップクラスで、茹でた後も多くの量が残っています。ビタミンCは皮膚や粘膜の健康維持を助けるため、感染症の流行している今の時期にはオススメの食材です。和え物、炒め物、汁物、パスタ等、色々な料理に活用することができます。デザイナーフーズ㈱の研究では、菜の花は熱湯で30秒茹で、ザルにあげて余熱で火を通した場合に最も抗酸化力が高く、食味もよいという研究結果があります。栄養価を残しながら、美味しく調理するには茹で加減も重要です。菜の花の苦味成分はふきのとうと同様に、アルカロイドやケンフェロールによるものです。鮮度が良いほど苦味が弱いため、黄色い花が咲いていないものを選ぶとより美味しく食べられます。

いよかん・ポンカン

柑橘類のリレーが始まりました。これから初夏の頃まで何かしらの柑橘類を店頭で見掛けるようになります。この時期、旬を迎えるいよかん。いよかんはオレンジとみかんの特徴を持っているため、これらを親に持つのではないかと言われていますが、偶発的に交雑した品種のため、詳細はわかっていません。いよかんの薄皮はそのまま食べると口に残ってしまいがちですが、ポリフェノールの一種であり血圧や血糖値の上昇をコントロールするといわれているヘスペリジンや、水溶性食物繊維の一種であり腸内環境を整えるペクチンが多く含まれています。スムージーにする際は薄皮ごとミキサーにかけるとよいでしょう。柑橘類は、表面がピンと張っていてほどよい弾力のあるものが新鮮で良質です。

いよかんとともにこの時期旬を迎えるポンカン。甘みが強く、皮、薄皮ともに柔らかいため、ヘスペリジンやペクチンも手軽に摂ることができます。また、ビタミンC含有量は100gあたり40mgと柑橘類の中でもトップクラスで、みかんよりも多いのが特徴です。体内でビタミンAと同様の働きをするβクリプトキサンチンも多く含んでいます。ポンカンを使用したムースケーキは、1食で摂取したいビタミンC量を全て補うことができる嬉しいスイーツ。皮膚や粘膜の健康維持を助ける果物として、今オススメの果物です。

わかめ

日本人は古くから海藻をよく食べてきました。これほど食生活に根付いているのは日本と韓国のみとも言われており、味噌汁や和え物など和食には欠かせない食材です。カットわかめや塩蔵わかめ等加工品も多く出回っており、一年中食卓に登場するというご家庭も多いのではないでしょうか。ただ、生のわかめが出回るのは春先のみ。まだ寒いうちに穫れる新芽が最も味が良いと言われています。

今回のレシピのわかめスープは、カロリーは控えめですが、ビタミンやミネラルはしっかりと摂ることができます。特にマグネシウムは、食べた糖質をエネルギーに変えるために必要なミネラルなのですが、日本人は不足しがちです。また、わかめのヌルヌル成分は水溶性食物繊維の一種で、これらは腸内環境を整え、免疫力を高めると言われています。食物繊維といえば野菜といったイメージがありますが、わかめや海苔といった海藻にも豊富に含まれています。生のわかめは時期が短いため、春以外の季節は乾燥のものも上手に利用し、毎日の食生活に積極的に取り入れると良いでしょう。

(文/グラフ デザイナーフーズ株式会社)