チェリーテラスの食とレシピ

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二十四節気の食材とレシピ「霜降」

霜降は暦の上ではいよいよ秋の終わり。山里に霜が降り始める頃です。急に気温が下がり、秋真っ盛りですね。楓や蔦の葉が色づく頃とも言われていますが、そろそろ近所の山木には紅葉が見られ始めたのではないでしょうか。
寒くなると風邪や感染症にかかる方が増えてきます。これはからだの冷えと、空気が乾燥していることによるものです。
寒い季節に旬をむかえる食材はからだを温めるといわれています。実の野菜よりも根菜を、南国の果物よりもりんごや柿など寒い時期の果物を積極的に取り入れるようにしましょう。
また、空気が乾燥していると、鼻やのどの粘膜も乾燥し、病原菌やウイルスが体内に侵入しやすくなります。こまめに水分補給をすることも大切です。これから始まる冬に向けて、寒さに負けないからだ作りをしていきましょう。

秋鮭

初秋の頃から、店頭に並ぶ秋鮭。鮭といっても、白鮭、紅鮭、銀鮭、サーモントラウトなど種類があり、店頭で「鮭」として売られているものは白鮭を指します。
秋鮭はお盆以降、生まれた川に戻ってきた白鮭のことであり、年中出回っているサーモンや銀鮭に比較して、脂肪分が少なく、身が締まっており、あっさりとしたおいしさを感じることのできる鮭です。
脂っこくないため、フライやムニエルといった油を使った料理、ちゃんちゃん焼きや石狩鍋など日本の郷土料理にはよく合います。
脂肪は少ないですが、血液の流れをよくするωー3系の脂肪酸であるDHAやEPAは多く含まれています。また、秋鮭の鮮やかなオレンジ色は抗酸化作用のあるカロテン類のアスタキサンチンによるものです。粕汁は、根菜も一緒にとることがてき、食物繊維やカリウムも摂取できることから、寒くなる季節にはおすすめです。

銀杏

紅葉の時期、街路樹のいちょう並木が美しい地域も多いのではないでしょうか。
銀杏は黄色いサクランボのような見た目をしていますが、黄色い果肉の部分は匂いが強いため食用できません。実の中の硬い殻に包まれた胚乳の部分を食べます。
殻を割ったものを茶封筒に入れ、口を折り返してレンジで1分~1分半加熱し、塩を振ると簡単に食べられます。また、殻から取り出したものをフライパンで炒って食べると香りがよく、一層おいしくなります。
銀杏はアーモンド、落花生、くるみなどと比べて、β-カロテンやビタミンCを多く含んでいます。これらのビタミンは皮膚や粘膜の健康維持を助ける働きがあるため、乾燥して肌がカサカサ、のどがイガイガするといった秋~冬に、銀杏はおすすめの食材です。
ただ、一度に多く食べると嘔吐、けいれんなどの中毒症状が起きることがあります。おいしいからといって沢山食べ過ぎないようにしましょう。特に幼児は中毒を起こしやすいので食べないほうがよいでしょう。

青梗菜

中国野菜の代表格ともいえる青梗菜ですが、日本で沢山食べられるようになったのは、1970年代の中国野菜ブーム以降です。
気温の変化に強いことから、一年中出回っていますが、寒さに当たることで味がよくなることから、気温が下がる今の時期に旬を迎えます。
青梗菜は葉も茎も鮮やかな緑色をしており、アクが少なく、加熱してもあまりかさが減らないことから、和洋中何にでも合い、炒め物や煮物、和え物、鍋物、汁物など幅広い料理に使うことができます。
抗酸化作用のあるβ-カロテンやビタミンEを豊富に含んでおり、これらは油に溶けやすいため、油と一緒に摂ると吸収がよくなります。炒め物にしたり、和え物やスープ、スムージーに少量の油を垂らしたりするとよいでしょう。
細かく切るよりも、縦半分や縦1/4程度の形を残した切り方のほうが、青梗菜の歯切れのよい食感を生かすことができます。
鍋といえば白菜のイメージが強いですが、価格の安定している青梗菜を大きいまま入れると、また違ったおいしさを楽しむことができ、栄養価も高くなります。

霜降の頃、柿は収穫の最盛期です。柿は日本原産のため育てやすく、庭先でも育てることができる果樹として、昔から好まれてきました。日本各地には多くの種類の柿がありますが、ほとんどの品種はこの頃に収穫されます。
柿は他の果物に比べて酸味が弱く、ペクチンを多く含んでいるため、スムージーに入れると、マイルドな甘味となめらかな口当たりが特徴的です。かんきつ類の酸味が苦手な方は柿をメインにスムージーを作ってみるのもおすすめです。
「柿が赤くなれば医者は青くなる」ということわざがあるように、柿には抗酸化作用のあるビタミンC、β-カロテン、ポリフェノールの一種であるタンニンが豊富に含まれています。ビタミンCについては、かんきつ類の約2倍の量が含まれています。
柿はそのままフルーツとして食べるだけでなく、サラダや和え物などの料理にもよく合います。柿と春菊のサラダは、一食でほぼ一日に必要なビタミンCが摂取できます。
ペクチンが多いため、砂糖を少なくしてもジャムを作ることができます。また、品種によって食感が大きく異なるのも特徴です。霜降の頃に摂りたい栄養が豊富に含まれている柿です。好きな食べ方や好きな品種を探してみてはいかがでしょうか。

(文/写真 デザイナーフーズ株式会社)