ユリ科。ユリは全世界で100種近くあり、日本では15種ほどが自生している。そのうち食用するのは球根(鱗茎)に苦みがまったくないか少なくて甘みがある種で、青果用栽培種のおにゆりと小おにゆり、観賞用と食用の両方に適している山ゆり(野生種のみ)が代表。そのほか、すかしゆり、たつたゆり(おにゆり、小おにゆり、すかしゆりの雑種)、わだゆり(取り扱い上は小おにゆり)がある。おにゆりと小おにゆりは中国、山ゆりは日本が原産。中国では古くから薬用にされ、雑病(慢性病)治療を扱った200年ごろの医学書『金匱要略(きんきようりゃく)方論』(通称『金匱要略』)に百合(ひゃくごう)病(100の病気が合わさったような訳のわからない病気、神経症、精神不安、イライラなど)にゆり根を煎じて飲むと効くと書かれている。日本では初めは自生の山ゆりの鱗茎を採取しており、中国から伝わったおにゆりや小おにゆりのゆり根栽培が始まったのは、17世紀(江戸時代後期)から。現在は小おにゆりの栽培が主体になっている。肉質の鱗片は葉の変形したもの。おにゆりのゆり根は重さが100g程度で鱗片は黄白色、ごくわずかに苦みがある。小おにゆりはおにゆりより小型で白色、苦みがない。山ゆりは黄白色で先端にピンク色の斑点があり、苦みはまったくない。いずれもほのかな甘みがあり、加熱するといものようなほくほくした食感になる。和風料理では小ぶりのものを飾り切り(牡丹ゆり根)するか大型のものを1片ずつはがした白煮、和え物、酢の物、きんとん、茶碗蒸しのたねに使われ、やわらかく煮たものや煮崩れたもの、飾り切りの残りは裏ごしにかけて寒天よせや茶巾しぼり、ひりょうずにする。漢方では去痰、鎮咳(ちんがい)、高熱の予後、腫れものの解毒などに使われ、鱗片をゆでて乾燥したものを強壮剤として使う。市場に流通しているゆり根の9割以上は北海道で栽培され、主産地は富良野市。秋口から収穫したものを貯蔵しているので通年出回っている。 ◇栄養成分 主成分は糖質で、主にでんぷん。ほかにはたんぱく質やカリウムが比較的多い。水溶性食物の一種、グルコマンナンが豊富なので便秘を改善するとともに、コレステロール値の上昇を抑えて高脂血症の改善に役立ち、糖尿病の予防にも作用する。粘り気は高ぶった神経を自然に落ち着かせるのに効果的といわれる。 ◇選び方 できるだけ色が白くてキズがなく、鱗片が大きくてかたく、よくしまったものがよい。細工をするときは丸みを帯びているものが扱いやすい。 ◇扱い方 丸ごと煮る場合のほかは形を崩さないように鱗片を1枚ずつはずして水洗いし、煮崩れを防ぐため縁を形なりにむき、塩と酢少々を入れた熱湯でゆでる。根菜なので日持ちはするが、ぬらすと傷みやすい。保存はおがくずの中に入れて乾燥しすぎないようにする。鱗片を1片ずつはずしてある真空パック品はあけると日持ちがしないので、袋をあけたらその日のうちに使いきるようにする。 |