スズキ目カマス科。かます類の総称だが、一般的に赤かますの別名で、上品な味の白身魚。晩秋の霜の降りるころから冬にかけて最も味がよくなり、この時期のものは特に本かますとも呼ばれる。背は赤みがかった黄褐色で腹は銀白色、尾びれは黄色。側面に1本のはっきりした暗色の縦帯がある。細長い円筒形の体で、先のとがった大きな口には鋭い犬歯があり、いわしなどを丸のみにする。きわだった特徴は、下あごが長くて受け口で、目が大きく、腹びれが背びれより前についていること。かますの名の由来はいくつかあるが、姿形が機織りの横糸を通す梭(ひ)に似ているので梭魚、梭子魚とも書く。赤かますの名は背が赤みを帯びていることからついたもの。日本中部以南の近海から南シナ海の沿岸に分布し、夏に産卵。2年かかって体長約30cmの成魚になる。ほどよく脂肪がのっているが水分が多くて身がやわらかいので刺身や煮物には適さず、焼き物、揚げ物、すり身にして椀だね、ムニエル、グラタンなどにする。また背開きにしたひと塩の干物はおいしく、加工品として広く流通している。食用するかますにはやまとかますもあるが、これは水かますといわれるように身がやや水っぽい。赤かますよりスマートで、全体は淡黄褐色だが、背が青みを帯びているので青かますとも呼ばれ、成魚になると体長は35?40cmになる。 ◇栄養成分 白身魚の中ではカルシウムを多く含む。カルシウムは歯や骨を丈夫にし、心筋の収縮作用を高めて筋肉の興奮を鎮めるのでイライラや神経過敏症の予防に役立つ。 ◇選び方 目がきれいで、腹部のしっかりしたものがよい。体長25cm以上の大きめのものなら、身が締まり、脂肪ものっていて美味。赤かますを見分けるには、尾びれの色と腹びれの位置を確認する。 ◇扱い方 身を崩さないようにうろこを取るには、尾から頭に向けて、包丁を軽くあてるようにする。 |