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Top上野万梨子の「パリレシピ」

上野万梨子の

パリレシピ Recettes parisiennes

いつもおしゃれで斬新なレシピを紹介してくださる上野さん。味はもちろん、色や香り、食感、素材の組み合わせすべてが魅力的です。そんな上野さんのパリのキッチンから、2007年は毎月、オムレツレシピが届きます。まずはオムレツから、シンプルフランス料理をはじめませんか?


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vol.8にんじんとトマトのモロッコママ風オムレツ


ピリ辛ソーセージのメルゲズを添える場合は、ソーセージをまず焼き、その際にフライパンににじみ出たピリッと辛さのある油にオリーブオイル少々を足して、オムレツを作るとよいでしょう。

毎週日曜日開かれる、ラスパイユのBIOの朝市に出ていた卵売りのスタンド。プレゼンテーションが可愛らしい。この市場には驚くほど日本人が多いのだけれど、十年以上前に出版した「万梨子が出会った美味しいパリ」が始まりだ、との噂も。

 パリ17区の西の外れに、ちょっと他とは違う料理を出すモロッコ料理屋があると聞いて早速訪ねてみました。クスクス大好きの私です。それがこの店では予約しておくとBIOの大麦でスムールを用意してくれるというのです。クスクスのスムール(※クスクスとは料理名で、硬質小麦から造られるツブツブの粉はスムールと呼ばれます)の替わりにブルグールと呼ばれる挽き割り小麦を使うことがありますが(これがまた美味しい!)、大麦のスムールは初めてです。

 山手線の内側くらいの面積しかないパリですから、どこに行くのも東京に比べたらあっという間。にもかかわらず、郊外との境目にあるその店は、なんだかやけにはずれに感じられます。みんな「ちょっと遠いね・・・」と言いつつも、でも「他にはないモロッコ家庭料理」の魅力に引かれて、声をかけたメンバーは全員参加となりました。その店を紹介してくれた男友達は、懇切丁寧に車での行き方をメールで寄こし、さらに「近くまできたら携帯に電話ちょうだいよ。そしたら、すぐ近くの広場に僕が立ってるから。そこがこの店のある道の入り口」。どこそこ広場といっても、こちらの広場のサイズは日本のそれとはけたが違うのです。いつでしたか日本からやってきた友人とバスチーユのオペラ座近くで待ち合わせをしたときのことです。「それじゃ、バスチーユ広場で待っています」と言われて「あんな巨大な広場のどこかに立っていたって、互いに豆粒みたいなもんで、見えやしないわよ・・・」と言って、大笑いしたものです。そんなわけで、大きな広場に入り、目的の道に向かってぴたりと抜けるのは簡単ではない。自分が目印になるために早めに店に着いて、広場に立っていてくれるなんて、車に乗る人でなければできない心遣いというものです。

 さて、期待のクスクスの前に頼んだモロッコ風前菜のいろいろは、素材よく、丁寧な仕事で大満足。なかでもにんじんとトマトをクミン、しょうが、にんにく風味で少し甘く煮たものと卵のタジンはとても気に入りました。タジンとは、三角のとんがり帽子のような蓋がついた陶器の鍋で調理したもので、普通は子羊とか鶏肉にレモンのコンフィやオリーブ、ズッキーニやトマトといった素材を加えてオーブンか直火で蒸し焼きにするもの。それが野菜と卵だけというのが気に入りました。とにかく私は卵大好き人間なのですから。

 今回ご紹介するオムレツは、その時の味を思い出しながら人参とトマトでピュレソースを作り、オムレツに添えたものです。メルゲズとよばれるアラブ風ピリ辛ソーセージを焼いて添えてもとても美味しいと思います。こちらのほうはお好みとあらば、是非。仕上げのコリアンダーの葉は、あると無いとではだいぶ味わいが異なりますから、こちらは是非とも手に入れてお作りください。クミンとしょうがとにんにく、そしてレモンだけで、これでけっこうモロッコ料理らしい味になるものです。店の名前はYEMMA。アラブ語でお母さんの意味なのだそう。店名の通りに、心からくつろげる良い店です。

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