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焼き上げた時に中心部分がまだ若干柔らかい状態で仕上げると、その部分がふんわりと流れ出て口当たりのよいオムレツスフレになります。ジャムの甘さにより、オムレツ自体の甘みを加減するとよいでしょう。
卵白4個の場合はジャグ(容量1リットル程度の縦長の容器)で泡立てるとよいでしょう。表面をたたきつけるようにして、バーミックスを大きく上下に動かすことがコツ。とてもキメの細かいメレンゲが、あっという間に出来上がります。
イースターのシンボルといえば卵。この時期になると街のお菓子屋さんのウィンドーは様々なデコレーションをほどこしたイースターエッグで華やかさが増します。チョコレートで編んだように作られた鳥の巣にはウズラの卵大のショコラが愛らしい色にコーティングされて飾られ、ガチョウの卵大の大きなショコラを二つに分けると、中には小さな卵型のボンボンがぎっしり詰まっていたり。そしてチョコレートの卵ばかりではありません。朝市のチーズ屋さんの店先には、普通の卵の4倍の重さはありそうな巨大で真っ白なガチョウの卵が!ちょうどイースターの季節が産卵の時期なのです。こわごわと割って、目玉焼きにしてみたことがありますが、ちょっとドキドキ。さて、パリジャンはこれをどうやって食べるのでしょう、、、。
ところでこの季節のメダマはなんと言っても子羊です。アニョー・ド・レといって、まだお母さん羊の乳を飲んでいる段階の小さな子羊は美食家にとっては垂涎のご馳走なものですが、まだ乳だけ飲んでいる内は柔らかいばかりで味がない。それが春になって戸外の若草を食べはじめ、しかしまだお母さんの乳も飲んでいる時期、それがイースターの季節で、その頃の子羊が一番香りよくジューシーで美味しいものなのです。
今回ご紹介するオムレツスフレの発祥の地は、フランス一の美味しい子羊を産することでも知られる、世界遺産モンサンミッシェルのレストランであると言われています。初めて訪れたのは30年以上前のことで、店内には大きな銅のボウルで卵を泡立てる音が響き渡り、長~い柄の鉄のフライパンに生地を入れると、汗まみれになった料理人が暖炉の炎と放射熱を利用して一気に焼き上げていたものです。ノルマンディー産の美味しいバターで焼き上げられたオムレツスフレはどれも塩味で、揚げたじゃがいもが付け合わせでした。それをリンゴジャムをはさんだ甘いデザートオムレツにして、留学から戻ってすぐに出版した初めての著書で紹介したものです。オムレツ本体の材料は卵と砂糖とヴァニラにバター、それにほんの少量の生クリームだけですから、卵の質には是非ともこだわりたいものですね。
留学先の料理学校で最初のレッスンで教わったデザートが、スフレにしていない、単なるオムレツを甘くして焼き、アプリコットのジャムをはさんだ、ただそれだけのものでした。甘い厚焼き卵が苦手だった私は「これが夢に描いた、憧れのパリの料理学校で教わる初めてのデザートだなんて、、、」とがっかりしたものです。でも、こんなに簡単な甘いオムレツも、フランスの家庭で愛されるレシピの一つだったのです。
今月のもう一品は、モンサンミッシェルのオリジナルに近い、チーズ入りのスフレオムレツを、耐熱皿に入れたマッシュルームと鶏肉入りのクリームソースにのせてふんわり焼き上げるという、私のオリジナルレシピです。こちらもどうぞお試しください。