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アンチョビの塩辛さに干しレーズンの甘みをのせるのが美味しさのポイントです。焼き皿の下に厚切りのトマトスライスを何枚か並べ、塩をふり、オリーブオイル少々をまわしかけてオーブントースターで予め焼き、その上にオムレツをのせてもよいでしょう。
八百屋の玉ねぎコーナー。網袋に入っているのがブルターニュはロスコフの玉ねぎ。皮がやや紫がかっている。下段左からもっとも一般的な玉ねぎ、次いでホワイトオニオン、その向こうが赤玉ねぎ、上段ロスコフの玉ねぎの隣はエシャロット、その隣はにんにく、灰色のエシャロット、そして甘玉ねぎ。
今月のオムレツは、ニース風ピザの "ピサラディエール" からヒントを得た炒め玉ねぎとアンチョビのオムレツです。ピサラディエールは、発酵させていないパン生地を薄く長方形にのばし、その上にたっぷりの炒め玉ねぎをのせて焼き上げるもの。トマトはいっさい使わず、アンチョビと黒オリーブをトッピングして、粗挽き白胡椒を食べる直前にたっふりかけて、ルッコラのほろ苦サラダを添え、冷えた白ワインと一緒にいただくのは週末ランチのお愉しみです。というのも、このピサラディエールは日曜日のオーガニック朝市の屋台で、玉ねぎの甘い美味しそうな匂いをたてて売られているもので、朝ご飯抜きで買い出しにでかけていると「家に帰ったらすぐに食べられるのが嬉しい!」と、つい買い求めてしまうものなのです。
基本的な食材がなんでもあたりまえのように美味しいフランスでは、玉ねぎも見た目からして違います。オイルサーディンの缶詰を空けて(収穫年度が明記されたブルターニュ産のこれがまた美味しい!)、切る端からみずみずしさがほとばしるようなブルターニュはロスコフや、南仏のカマルグ産のオニオンスライスをのせて、やはり南仏はマントン、あるいはシチリア産の完熟レモンを絞っていわしを口に運ぶと、なんでこれが缶詰なんだと、大げさでなく、思わず無口になってしまうほどの美味しさです。このいわしには欠かせないのが新鮮な玉ねぎで、これが辛いばかりの玉ねぎではどうにもならないし、それでは水にさらしてしまったら美味しくもなんともないというわけで、たかが玉ねぎくらいその辺のスーパーにあるもので・・・とは決して侮れない存在感を示します。こういう玉ねぎだったら、薄切りにしてじっくりと炒め、牛のバベットステーキの上にたっぷりのせて粗挽き胡椒を挽きかければ、ソースなど何もなくても大満足です。甘みが美味しいだけでなく、繊維をあまり感じさせずにくったりとしたなめらかなテクスチャーが、付け合わせなのにソースのような役割を果たしてくれるのが魅力です。子牛のレバーステーキならば赤タマネギをよく炒め、ビーツの粗みじん切りを最後に加えてバルサミコヴィネガーをふりかけて仕上げます。
さてピサラディエールにはフレッシュタイムが不可欠です。むろん、手に入らなかったら乾燥ものでも大丈夫ですが、入手できればフレッシュを用意しましょう。玉ねぎを炒める際に、このタイムの枝も一緒にじっくりと炒めることができたら最善です。そして私流のピサラディエール風炒め玉ねぎには、干しレーズンが加わります。アンチョビの塩辛さにレーズンの甘みが良くあうものだからです。今回はこの炒め玉ねぎを、ピザではなくオムレツにトッピング。チーズものせてオーブントースターでさっと焼いて仕上げました(ニース風ピザにはチーズは使いませんが)。少し多めに作って、残した炒め玉ねぎを干しレーズンやアンチョビ、お好みで黒オリーブごとバーミックスでつぶしてペースト状にして冷凍庫に保存しておくと、急なお客様の時にはワインのお供になるカナッペに利用できて便利です。
今月のもう一品は赤玉ねぎとトレヴィスのポタージュです。玉ねぎの甘さ、トレヴィスの苦み、そこに仕上げに加えるSABAの甘みがポイントになります。これを加えると色も美しくきまります。