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Top上野万梨子の「パリレシピ」

上野万梨子の

パリレシピ Recettes parisiennes

いつもおしゃれで斬新なレシピを紹介してくださる上野万梨子さん。料理にまつわる楽しいエピソード、盛り付けや器のコーディネートのコツなど・・・思わず人を招きたくなるレシピを添えた、楽しいエッセイをどうぞ。


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vol.21ポトフに知るフランス家庭料理の合理性

ポトフ

玉ねぎは十分に焦がし焼きしてから、鍋に加えます。

アシェ・パルマンチエ

茹で肉のマリネ



 ポトフ。ブイヨンと茹で肉、茹で野菜。それぞれの料理が同時にできる、フランス家庭料理の代表格です。といって、この頃では「昔懐かし料理」の流行で、ビストロやカフェのランチタイムにもよく登場するようになりました。

 ポトフというと、肉と野菜のスープ煮込み、というイメージをお持ちの方が多いと思いますが、家庭では肉と野菜で一皿、そしてブイヨンでもう一品。一緒に盛りつけずに別々にサービスすることが多いようです。

 ポトフの茹で肉は「ブイイ」と呼ばれます。ブイイ、、、なんだか愛らしい響きです。この茹で肉は煮込み上がってすぐではなく、一晩おいてブイヨンの味をじんわりしみ込ませたものがより美味しく、そのまた翌日、鍋に残ったブイヨンがさらに煮詰まってブイイにしみ込むと更に美味しくなる。一度に食べ切らずに、残すことで愉しみがつながってゆくのが家庭のポトフです。

 ですからポトフは思い切って多めに作るのがお勧めです。残ったブイヨン、茹で肉、そして野菜を使ったいろいろなレシピに変化させ、何日にもわたってひと鍋を楽しむ。フランス家庭料理の合理性を、ポトフほど物語るものはないでしょう。

 ところで、茶色い美味しそうな色のブイヨンをとるために、玉ねぎは十分に焦がし焼きしてから鍋に加えます。できればオーブンで時間をかけて焼きましょう。この方がブイヨンに甘みが出るようです。

 では残ったポトフから作る料理をいくつかご紹介しまます。

―オニオングラタンスープ。残ったブイヨンを利用すると、玉葱をことさら時間をかけて茶色くなるまで炒めなくても、色のきれいな美味しいスープが出来上がります。一口大に切ったバゲットをトーストしてからスープに浸し、チーズと共にグラタンスープに。

―ポワローヴィネグレット。ブイヨンでポロネギをくったりと茹で、ヴィネグレットソースでいただく。パセリのみじん切りと、茹で卵の黄身をフォークの先でくずしたものを散らす。皿に残ったソースと卵をパンにつけて食べるのが美味しい。

―アシェ・パルマンチエ。残った茹で肉を細かくほぐし、じゃがいものマッシュに混ぜ、バターやクリーム、スパイスを加え、パン粉をふりかけてグラタンにする。熱々に焼けたところに冷たいグリーンサラダを添えていただく。

―茹で肉のマリネ。ブイイの残りを厚めにスライスしてから角切りにする。玉ねぎ、ピクルス、トマトや香草を加えたヴィネグレットソースに浸してマリネする。

 こんな感じの残りもの利用レシピは、ざっと数えただけでも15種はゆうに。最初の煮込みには数時間を要しますが、結果的にはとてもエコロジーな料理なのです。

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