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Top長尾智子の季節のメッセージ

素材をシンプルに味わう、長尾智子の季節メッセージ


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vol.10終わらない夏に。きりっと、酸っぱい風味の鶏肉を中心に。






 近頃は、もうそろそろと思っても、なかなか夏が終わりません。夏の暑さといったら、毎日決まった挨拶しか思いつかないくらい。幸いなことに、暑い盛りの時期に食欲が減退する、という経験はほとんどないのですが、冷たいものばかりもよくなさそうだし、かといって重たい料理にも手が出ない、という時、料理に酸味を加えます。そんなことを言うと、一年中使っているじゃないと言われそうなくらい、酸味を加えることが好きではあるのですが、特に夏の料理には、きりっとした酸っぱい風味をプラスしたくなります。

 酸味が苦手、という方は、半分くらいに減らしていただいて構わないのですが、レモンで軽くマリネしてから焼いた鶏肉は、予想外の爽やかさがあるはずです。豚肉やラム肉に応用できますし、かじきマグロやえびなどの魚介類にもおいしい味つけです。もし手元にあれば、タイムやローズマリーのひと枝をちぎって加えても、レモンの香りとよく合います。こういうことは、料理の味の組み立ての足し算。もちろん、時には引き算もあって、何を中心に据えるかをはっきり決めれば、割と自由に組み合わせていける楽しみでもあります。

 玉ねぎをシンプルに煮込むと、その甘さが鶏肉の酸味とよく合う付け合わせになります。こちらは、クミンシードのスパイシーな香りをつけて、オリーブ油も少し多めにすると、存在感が出て、ひと皿の充実感が増すような気がします。例えば、玉ねぎをガーリック風味にして、鶏肉にレモンとクミン、という組み合わせにすると、もっとスパイスが強調されるので、そちらもおすすめ。使い方で、印象が随分変わるので、優し気にしておくのか、焼いて強く出すのか、というのを考えるのも、料理のプロセスにおける面白さです。

 前菜的なものとして、トマトに少しカレー粉を加えたタブレを作ってみました。クスクスに使う小さなパスタ、スムールは、今回は全粒粉のものを使ったので、少し茶色がかっています。タブレには、いろいろな食材を組み合わせて入れるのが楽しいので、サラミ、グリル野菜、さっぱりときゅうりやセロリ、魚介類などなど、ボリュームも自由自在です。タブレとハム、ゆで卵をランチにするのもおすすめ。

 おまけに、ちょっと変わったタブレもご紹介しましょう。好きでよく行っている北アフリカ料理のレストランが、パリのマレ地区にありますが、そこでご主人が出してくれた、甘いタブレを思い出して、アレンジしたものです。お家で作っていたようなもので、実際には温かいスムールに濃い紫の小さなぶどうが皮ごと入って、ほの温かくほの甘いもの。不思議なおいしさでした。それにレモンの酸味とはちみつの甘味を加え、ぶどうは似たものがなかったので、粒の大きめのものを半分に切って。よく冷やした方がおいしい。デザートというわけでもないので、前菜として少なめに作って出すのがいいような気がします。きっと食欲が出てきますよ。

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