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「浜作主人の家ごはん」ぎをん手習帖

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十一之巻

「新緑の葵祭」

福田平八郎先生の「竹に雀」

 今を遡る千年の昔、源平の時代。常に権力の中枢に君臨することに、その権謀術数の限りを尽くし執着し続けた後白河法皇は「毀誉褒貶きよほうへん」という点において、歴代の天皇の中でも特筆すべき存在であります。絶頂期にあってどうしても我が意のままにならないことが世の中に三つだけあるとおっしゃったそうでございます。
 すなわち、一つは「賽の目」、二つ目は「神輿を担ぐ比叡山の荒法師」、そして三つめが「賀茂川の水」であります。

 京都市中心部を南北に貫く賀茂川は、現在では数度に及ぶ治水工事により穏やか且つ清らかな流れを保ち、京都人の心の癒しの拠り所となっております。東山・北山・西山と、三方山に囲まれた盆地に賀茂川があればこそ「山紫水明処」と謳われる所以でございます。
 かもがわと言っても上流から加茂大橋までは「賀茂川」と呼び、それから下は「鴨川」と表記されます。
 桓武天皇が平安京を遷都なさる以前から、長らく山城の国一宮として人々の尊崇を第一に受けてこられたのは上賀茂神社と下鴨神社の二つの御社でございます。今となってもこの二社の御神域はなにか荘厳で清澄な空気に満ちております。
 この神社の御祭礼が「葵祭」と申して毎年5月15日に挙行されております。7月に行われる日本三大祭りである「祇園祭」と、10月22日に行われる「時代祭」を加えて、俗に「京都三大祭」と言われております。酷暑炎天の中、絢爛豪華な山鉾や神輿が都大路に繰り出される祇園祭は、有名な祇園囃子が市中に鳴り響き誠に華やかなものでありますが、管絃のほかはほとんど音楽的要素を含めないこの静かな「葵祭」こそ、王朝の典雅を厳かに今に伝える最も京都らしいお祭りではないかと私は思っております。

 桜が散ってゴールデンウィークも過ぎ観光シーズンもピークを越すと、都を囲むなだらかな山々は新緑に輝き、我が京都が最も光溢れる最良の時候となります。初夏を感じるこの季節の楽しみは、出始めの鱧、若鮎、じゅんさい、賀茂なす、えんどう豆や三度豆など、若くみずみずしい素材を手早く凝らずに仕上げた清新なおいしさでございます。「青嵐」と呼ばれるこの季節が、私には最も過ごしやすい、大好きな時でございます。
 この少し汗ばむ体が欲するお味は甘酸っぱさではないでしょうか。今回は「バルサモ・ビアンコ」と「バルサモ・ディヴィーノ」を使い、和えものを作ってみました。全く和食にも違和感のない、すっきりとしたお味に大きな可能性を感じることとなりました。

申歳皐月大安吉日

ぎをん八坂鳥居畔 三代目浜作主人 森川裕之

浜作玄関の八角蓮

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