幼児食トップページ > 服部幸應先生に伺う 食育のすすめ

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(学)服部学園理事長、服部栄養専門学校学校理事長・校長。医学博士。テレビでもおなじみの食の探求者。食育、料理を通じた地球環境保護の活動にも取り組んでいる。内閣府「食育推進会議」委員、「早寝・早起き・朝ごはん全国協議会」副会長。著書は「食育のすすめ」(マガジンハウス)、「服部幸應の食材辞典」(フジテレビ出版)など多数。
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人を良くする、と書いて食ですね。良い人を育てるためにはどうすればよいか、というのが食育という考え方です。
小学校4年生くらいの時に人間の舌、味覚は最も敏感になります。ですから離乳食を卒業したころから10歳くらいまでの食生活は生涯に関わってきます。
この時期に脳や運動機能も非常に発達しますから、おいしくて、バランスのよい食事をすることによって、健康な身体と精神の安定を得ることができるのです。それから五感を養い、免疫力を高めて病気に対する抵抗力ももてるようになります。
見た目がよくて、よい匂いがして、おいしそうなものを見ると、脳が刺激されて、セロトニンという脳内物質がでます。そうすると胃が動いてキューキュー音がするくらいなんですが、そうして食べれば免疫機能がぐっと高くなっていくのです。食べるというのは、お腹がいっぱいになればいい、ということではないんです。
おいしいごはんを食べて満足感をもつことがどんなに大切か、おわかりでしょう?以下に具体的なお話しをしてみようと思います。
はじめは親ですね。それから幼稚園や保育園の先生たちが父母と共同で取り組んでほしいと思っています。そして小学生になったら、学校でも本人たちに教える。
この春に審議が予定されていた食育基本法案で、いまぼくもアドバイザーとして試案に対して意見を申し上げています。都道府県の自治体に予算が少しでもついて食育担当の先生が生まれれば、取り組みも具体化していくでしょう。
少し大げさに言うかもしれませんが、世界でいちばん料理のできない人を育てた国ですから、ぼくはとても心配しています。日本の若い人たちはどんどん調理済みやスナック食品、外食だけで食事を済ませてしまうようになってきています。
日本の食卓の7割以上に調理済み食品が登場している現状です。
女性が仕事をもつようになって、子育てと食事つくりと、ほんとに大変な毎日だとよくわかるので、調理済み食品を全部否定することはできません。
せめて実だくさんのお汁と野菜料理の一皿を手づくりで食卓にのせてほしい、と提唱しています。献立を立てられない親も増えています。加工食品を組み合わせてもよいから、とにかく根菜もたっぷり入れたお汁と野菜料理は作る、これはサプリメントと考えてもいいかもしれません。基本的な食事なのです。
どんなものを食べたら安心か、おいしく食べられるか、を知ることです。
農薬の問題、遺伝子組み替え食品の問題、ダイオキシンの問題などの環境破壊問題、そしてB.S.E、鶏インフルエンザなど食材をめぐる世界的な規模の問題が押し寄せています。
そのなかから、とにかくより安全な食材を手に入れることがひと仕事。様々な情報を判断し、選択する必要にせまられるわけですね。これはその人なりの物差しをもって考えるしかない、生き方の姿勢とも関わってくることですから。少なくともそうした姿勢をもってほしいと思います。もちろん味覚というのは先天的な要素もありますけれど、それだけ優先しても困りますね。たいへん増えているアレルギー体質なども、発育期の食生活と関わっていることがわかりはじめています。母乳を6ヶ月はあげてほしいとぼくは言っているのですが、早くやめてしまうと胃腸の酵素の働きによっていろんな症状が現れるし、脂肪酸のとりかたなどもアレルギーと関わっていると思います。
どう食べるか、躾も大切です。例えば日本人の持っている箸の文化を伝えることができるかどうか・・きちんと箸をもてない子どもが増えていますからね。
日本人の40%くらいが正しくもてない。親も先生ももてないのだから困ったことです。
2歳くらいから4歳くらいまでに、家庭で箸のもちかたと使い方のマナーを教えましょう。箸を基本にした食事のマナーが身につけば、ナイフとフォークの西洋料理、中華料理のマナーにも応用がきいて、どこに出かけても見苦しくない食事の作法が身につくはずです。まず家庭から、食育の実践ははじまります。「いただきます、ごちそうさま」をきちんと言ってごはんを食べていますか、と聞いてみたいですね。
食をめぐる環境の問題です。エコロジーやリサイクルの問題を無視して、食を考えることはできません。食料問題は今危機感をもつことを迫られています。とくに日本の食料自給率はカロリーベースで40%、先進国中最下位で、外国からの輸入に頼っているのが現状です。そのくせに残飯がやたらに多く出る。世界中で飢饉に悩む人が増えているというのに、です。こうした問題を知ることが大切です。
今学校や地域で実践として調理に取り組むところが増えてきています。調理経験を通して食材のこと、火を使うこと、手先を使うことなど身につくことが多い。ぼくは中学生までに20品目の料理ができるように、と言っています。自分で作ってみるとわかることがたくさんあります。10年、20年後に期待しようと・・
ですから今食育が大切なのです。
食事の“くせ”をつけることが大切だと考えています。日本の伝統的な食事というのは実に理にかなっているんです。とくにお米には上質な蛋白質もあってバランスがよく、お腹もちもいいです。穀物のとり方がたりないです。ともかくおいしく炊いたごはんを食べることからはじめてほしい。
カロリー計算に振り回されないで、バランスを考えて。カロリー計算は便利ですけれどとらわれてはだめです。例えば同じ脂肪酸でもサラサラ系とベタベタ系とあります。
青魚などの脂肪酸はサラサラ系、豚肉などはベタベタ系。日本の伝統食は魚系でしたが、それが逆転して肉系が圧倒的に増えています。この傾向とアレルギー体質の人が増えていることは関係があるでしょう。
それから薄味のくせをつける、よくかんで食べるなどもおいしく食べることのうちと考えてほしいものです。
あんまりマニュアルみたいな考えかたに囚われると窮屈になって続きませんから、大体3日単位くらいで食事のバランスを考える。家族そろっての食事もできるところからやってみる。例えば四季折々の行事食を取り入れる、なるべく家族が同じ物を食べるといったことも大切です。子育ての基本は知育、徳育、体育そして食育の四本柱なのだと思います。
(2004年3月)
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